人口こそが最大の武器
バンクーバーの悲劇
すでに述べたように、中国はその15億もの有り余る人口を用いて、他国に大量の観光客を送り込んだり渡航を禁止したりを繰り返し、相手国を債務の罠にはめていきます。
そればかりではなく、この人口を直接用いて、直接相手国または相手国の一部地域を事実上占領してしまうこともできるのです。
カナダ第3の都市バンクーバーは中国人であふれかえっています。これは去年までの日本の観光地の比ではありません。バンクーバー市を中心とするバンクーバー都市圏の人口は246万人ですが、そのうち41万人の住民が中国人なのです。
長期にわたる移民政策
彼らは1997年の香港返還の前後から移民としてバンクーバーにやってくるようになりました。彼らは後述するカナダ政府の投資移民ビザ制度を使ってカナダ国内に流入したのです。
バンクーバーの中国人たちは例によって、中国人どうしで固まり、公園を占拠し、中国語で大声で話しています。繁華街には中華料理店が立ち並び、まるで中国国内の街のようです。
以前からバンクーバーに住んでいる白人たちから見ると、バンクーバーは中国人に占拠されているように見えるそうです。
またバンクーバーに入ってくる中国人は富裕層が多く、彼らが地元の豪邸を買いあさったため、不動産価格が高騰し、地元住民が家を買えなくなるといった現象も起きています。
カナダ政府の市民権政策の失敗
バンクーバーがこのような惨状に陥った原因は、カナダ政府の市民権付与政策にあります。昨年までカナダでは、一定の資産を持ち、一定額をカナダ国内の銀行に投資すれば、永住権を得られるシステムがあったのです。これが投資移民ビザ政策です。
資産額と投資額は年々値上がりし、2019年度には、200万カナダドル相当の資産を持ち、カナダ国内に32万カナダドルの投資が必要でした。これはかなりの金額です。
しかし、それまで一度もカナダに来たことのない外国人でもお金があればいきなり永住権を取得できたわけです。
一族のうち、誰か一人でもお金持ちがいて、その人が永住権を取得すれば、その家族全員に永住権が付与されます。その家族のメンバーがまた自分の家族を呼び寄せ、それを繰り返していけば一族大挙してカナダに移住できるわけです。
また永住権を取得後、5年間で1095日以上カナダに滞在すれば、市民権が取得できます。永住権は外国人として居住する権利のみですが、市民権を取得すれば、カナダ人と同じくカナダのパスポートを持ち、選挙権や被選挙権まで持つことができます。
中国人たちはこのシステムを悪用し、どんどんどんどん一族をカナダに呼び寄せ、バンクーバーの街はカナダ人であふれかえってしまったというわけです。
彼らは組織票を背景に市政に進出し、多数の議員を送り込み、市政をも左右できるようになってしまいました。
人口こそが最大の武器
確かにカナダの市民権付与システムにスキがあったのは確かです。結局カナダは2019年8月、このシステムを廃止しました。あまりにも大量の中国人がこれを利用して国内に流入してきたからです。
しかしこういうシステム上のスキを見逃さず、じわじわと着実に大量の移民を流入させ、街を乗っ取り、市政をも掌握してしまい、事実上の占領を達成してしまうのが中国の怖いところです。
中国は国内に有り余る人口そのものを武器として用いているのがお分かりになると思います。
またこの事例は同時に外国人に参政権を与える危険性をも示してくれているのではないでしょうか。