韓国が日本に「輸出規制?」撤廃を要求
2020年5月12日、大韓民国政府は日本に対して、「輸出規制?」の問題を解決するための方法と、日本の立場を5月末までに明らかにせよと要求したと「発表」しました。
韓国政府はもしも解決策が示されない場合、もしくは回答がない場合は、GSOMIAを破棄し、WTOに提訴すると息巻いていました。
韓国は5月31日の深夜まで待ちますが、もちろん日本政府からの回答はなし。
GSOMIAのことはすっかり忘れて、WTOに提訴するといっています。
韓国と日本の間の絶対に埋まらない溝
日本の側から見ると、これは全く意味のない行為に見えます。
日本は現状で貿易の在り方を変更する必要性は全くありませんし、韓国の要求に回答する必要性もありません。韓国が勝手に決めた期限に付き合う意味はないわけです。
ではなぜ韓国は、このような意味がないと思われる行為をいつまでも続けるのでしょうか?
この問題を解くカギは、私がカギかっこをつけた2つの言葉、「輸出規制?」と「発表」にあります。これらを順に説明していきたいと思います。
まずは「輸出規制?」のほうから行きましょう。
もちろんこれは輸出規制でも何でもありません。
韓国の言う「輸出規制?」はみなさんご存じのように、昨年(2019年)8月2日に閣議決定され、同月28日に施行された、輸出手続き上の優遇措置が取られる、ホワイト国から韓国を除外したことを指しています。
ホワイト国除外は輸出規制?
ホワイト国は恩恵措置
韓国のホワイト国扱いを解除するとき、日本側は、韓国がここまで大騒ぎするとは思っていませんでした。
ホワイト国というのはあくまで優遇措置にすぎません。韓国は一応友好国ということになっていますので、フッ化水素輸出に際して、所定の手続きを踏めば問題なく輸出されます。
ホワイト国は、この所定の手続きを免除するというだけのことです。まぁ、大したことにはならないだろうというのが日本側の読みでした。
韓国側の激烈な反応
しかし、韓国側は、予想に反して激烈な反応を示しました。韓国政府は、この措置を、根拠のない輸出規制であると主張し、韓国マスコミは連日「いわれなき輸出規制を解除せよ」と叫びました。
日本側は、驚いて、いちおう閣議決定から施行までの期間に、韓国政府の完了を日本に招いて事務レベルで説明会を開催しました。
この説明会は5時間に及びましたが、まったくの平行線に終わりました。
日本側が「今回の措置は輸出規制ではなく、優遇措置の解除にすぎない」ことを説明し、韓国側が「わかりました」と応答し、「では、何の問題もありませんね」と確認して、「じゃ、26日から施行します」、といった途端、韓国側が「ただちに輸出規制を解除しろ~!」と叫ぶ、というのを延々と繰り返していたそうです。
韓国政府はさっそくWTOに提訴する手続きを取りましたが、実際には輸出規制でも何でもないので、門前払いを食らいました。そりゃそうです。
しかしその後、韓国政府、および韓国国内のマスコミは、連日、「いわれなき輸出規制だ、直ちに解除しろ」と叫び続け、これは現在でも続いています。
なぜ韓国は「輸出規制だ」と叫び続けるのか
ではなぜ韓国はいつまでも「輸出規制だ」と叫び続けるのでしょうか?輸出規制と優遇措置を区別する理解力がないのでしょうか。そうではありません。
かれらはホワイト国除外の経緯を説明されるとそれをちゃんと理解します。
でも、理解したとしても絶対それを認めることはありません。
彼らにとっては、ホワイト国除外は、優遇措置の解除ではなく、輸出規制でなければならないからです。さらに彼らの頭の中では、
輸出規制でなければならない→輸出規制だったはずだ→輸出規制に違いない
→輸出規制だ→日本はすぐに輸出規制を解除しろ
という脳内変換が一瞬のうちに行われているのです。
この、こうあるべきから、こうだったのだに変化する脳内変換スタイルは、儒教国特有のもので、韓国・北朝鮮・中国に共通の考え方です。
儒教に基づく事実の改ざん
この脳内変換スタイルはそもそも儒教の開祖の孔子に由来します。
孔子は中国古代の尭帝、舜帝の時代を理想の統治が行われた黄金時代とし、その時代に行われた理想の統治を現代(春秋時代のことです)に取り戻さなくてはならない、そのためには・・・という形で儒教の教えを説きました。
これって過去の事実を改ざんしてますよね?人間のやることなんていつの時代もだいたいおんなじです。尭帝の時代であっても、いい人もいれば悪い人もいる、よく統治されている地域もそうでない地域もあったでしょう。
それを一律に理想の時代だったとし、その理想の時代を現代に取り戻すには…とやるということは、過去を美化し、過去を改ざんしているわけです。
尭舜の時代は素晴らしい時代でなければならない→素晴らしい時代であったはずだ
→素晴らしい時代に違いない→素晴らしい時代であったのだ
という変換が孔子の脳内で行われているわけです。
この発想は後世の儒教徒たちに骨の髄までしみついています。彼らは孔子がそうであったように、あるべき理想を本当にあった現実に変換してしまうんですね。
また、儒教徒が目標とする尭帝・舜帝は理想の君主で、完全無欠かつ無謬の人物とされました。
ここから儒教においては、上位者は絶対に正義で、間違えることはないという発想が生じてきます。
この辺の儒教の機微については拙著
に詳しく解説してあります。併せてご参照ください。
儒教による上下関係の確認
これに加えて儒教に基づく、上下関係の確認行為というものがあります。
儒教は上下関係がすべての宗教です。孔子の言葉の内容を知っている韓国人はほとんどいないそうですが、この上下関係の感覚は全国民に染みついているといっていいでしょう。
儒教社会では、立場が上のものが、不条理なことを言ったとしても、下のものはそれに反論してはいけません。全く関係ない理由を持ち出して命じたとしても、それに従わなければならないのです。
日本人は基本的に儒教徒ではないので、「なんだそりゃ」と思うかもしれませんが、儒教とにとってこれは死活問題なのです。
彼らの頭の中のイメージを再現してみましょう。
下「そんな馬鹿な、ちゃんと正規の手続きを踏んでください」
上「ふざけるな(立場が下のお前が上である俺に意見するとは何事だ)、これは不当な輸入規制だ(俺は間違えないんだからこれは輸入規制でなければならない、輸入規制なんだ)。輸入規制を解除せよ!」
下「(これは輸入規制でも何でもないよ。そもそも横流しなんて言う悪事になんで 俺が協力しなきゃなんないんだよ・・・でも相手は俺より上だし、これは絶対言ってはいけないことだな)はい、わかりました!どうかご自由に輸入して(横流しして私腹を肥やして)ください!」
というのが儒教徒世界でのあるべき姿です。善悪や道理より上下関係を尊重することが優先されるわけです。
では彼らの頭の中で、日本と韓国の上下関係はどうなっているのでしょうか?
彼らの感覚では韓国は兄、日本は弟です。これは韓国のほうが絶対的に上の立場であることを意味します。
兄が絶対的に上だって?対等な兄弟だってあるだろ?兄弟仲よくすればいいじゃん、と思う方もいるかもしれません。
このブログの以前の記事是説明したように、儒教の最高道徳は孝であり、主君が不条理なことを言っても逃げることができますが、父や兄が不条理なことを言ったときは、自分の命を失うことになったとしても、それに従わなければならない、というのが儒教なのです。
しかし日本人は儒教徒ではありませんので、「優遇措置解除は輸出規制じゃないだろ、ちゃんと必要書類だしなよ」と言ってしまうわけです。
彼らから見ると、下の立場にいる日本が上の立場の我々に反論するとは何事だ、黙って我々の横流しを認めろ、というわけで、彼らはますます「輸出規制だ~」と叫ぶことになるということです。
事実の改ざんにおける思考パターン
彼らお得意の歴史の改ざんも、基本的にこの思考を踏襲していますが・・・話が大幅にそれそうなので、今回の事件の話に戻します。
韓国はホワイト国の立場を利用して、日本から輸入したフッ化水素を第3国に横流しし、暴利をむさぼっていた。優遇措置がなくなったおかげで、暴利がむさぼれなくなり、サムスンなどの企業が危機に陥った。
→これでは日本が正義で、自分たちが悪であることになってしまう。日本より上位にある大韓民国は絶対に正しい。悪事を働き、下位の日本にそれを正されるなんてあってはならないことだ。
→我々は正しい行為を行い、日本がそれを妨害したから、サムスンなどの企業が危機に陥ったのでなければならない。
→我々はホワイト国という正当な権利を所持し、それを正しく使っていたのに、日本が不当な貿易規制をしたから、サムスンなどの企業が危機に陥ったのに違いない。
→日本は直ちに不当な貿易規制を撤廃し、我が国にホワイト国という正当な地位を回復させよ。
というように変換されていきます。実際に何が起きたかはどうでもよく、上位である韓国が下位の日本に対してそうあるべきだったはずのことが、そうであったにちがいないことになり、結局実際にあった事実に変換されていくのです。これが儒教徒の思考です。
次回に続く→
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