笹原シュン☆これ今、旬!!

日本で、世界で、今まさに旬のトピックスをお届けします。政治、経済、文化、世界情勢など、噛み砕いてわかりやすく解説していければと考えています。同時に、日本の在り方、進むべき道についても、示していければと思っております。

コロナ後の日韓関係4 韓国民主化。法の支配なき民主化で、韓国世論が暴走を始める。

韓国民主化の実現

 若い方は、韓国はずいぶん前から民主主義国家だと思っている方が多いようですが、韓国が民主化を遂げたのは割と最近、1987年のことです。

 

 ソウルオリンピックを翌年に控えた1987年、軍事独裁を続けてきた全斗煥大統領に対する民主化要求デモが、韓国全土に広がっていました。

 

 6月29日、ソウルオリンピック組織委員長の盧泰愚が、8項目からなる民主化宣言を発表。全斗煥は辞任し、直後に行われた民主的手続きの大統領選挙において盧泰愚が選ばれ、大統領に就任しました。

 

 10月27日に大韓民国憲法が改正され、大統領直接選挙制による民主主義体制が成立したというわけです。

 

 ちなみに民主化前の韓国は、全権を持つ大統領による軍事独裁制が行われていました。独裁者は順に、李承晩、朴正煕、全斗煥の3人です。

 

 年配の方々は、若い方とは逆に、朝日新聞をはじめとするマスコミが、

「韓国は独裁者による軍事独裁制が行われている地獄のような世界だ、北朝鮮は民主化がいきわたっている地上の楽園だ」

と報道し、多数の日本人がこれに騙されて北朝鮮に渡ってひどい目にあったのを覚えておられるかと思います。

 

法の支配なき民主化の弊害

 韓国の民主化は、人類史における壮大な文明実験と言えるでしょう。

 

 韓国は世界史上ただ一国、法の支配のない状態で民主化を行った国となったのです。その弊害はすさまじいものがあるといってよいでしょう。順に説明していきましょう。

 

西洋諸国の民主化のパターン

 イギリス・フランスをはじめとする西洋諸国は、中世の時点で、国王の横暴を止めるために議会ができ、憲法が整備されました。

 

 憲法は成文法の場合も、イギリスのように不文法の場合もありますが、どちらにせよ、国王及び君主が守るべき法を意味しました。この時点で君主が法に従わなくてはならない状態、すなわち法の支配ができたわけです。

 

 その後、市民革命によって、国王や皇帝が倒され、民主制が成立しました。そのため、民主制によって行政権を持つことになった大統領や首相は、引き続き法の支配に従うこととなりました。

 

 つまり、憲法に反した政策を、大統領や君主は行ってはならないし、実際に行わないということとなったわけです。

 

 西洋民主主義国における君主は、議会によって制定された法を執行する役割のみを担い、憲法をはじめとする国家のほうに君主自身が従わなくてはならないというわけです。

 

儒教国における法とは何か

 これに対して、中国およびその周辺の儒教国における法は全く異なった意味を持っていました。

 

 中国において法(律令)とそれを執行する官僚システムが整備されたのは、秦の始皇帝の時代です。始皇帝は広大な領土を統治するにあたり、自らの意志を補佐するために法を定め、それを執行する官僚組織を作りました。

 

 法はあくまで皇帝の命令の補佐の役割を果たします。何も変わったことがないときは、法に従って官僚たちが統治をおこない、何かあったときは皇帝の命令が発され、その命令は法に優先して執行されるわけです。

 

 皇帝自身は法に従うことはなく、法は皇帝の命令が何もないときのみ有効となるわけです。皇帝は法の上位に位置しているので、いわゆる法の支配は実現していないわけです。

 

 また周辺の朝貢国は、独自の法を持たず、中国の法をそのまま自国の法として執行し、中国の年号をそのまま自国の年号として使っていました。もちろん日本は例外ですが。

 

 このシステムはその後の中国歴代王朝に引き継がれ、清が滅んだあと中華民国にも引き継がれ、現在の中華人民共和国にも継承されています。

 

 中国では法律で、契約の絶対性が保証されているにもかかわらず、習近平が一言いえば、いつでも契約は破棄され、企業の資産は没収されてしまいますね。

 

 これは中国では今でも国家主席(皇帝)の命令が、法の上位にあるからです。中国ではいまだに法の支配は実現されていないわけです。

 

 世界史的にみると、西洋諸国は近世初頭に、その植民地となった国々は、近世後期には法の支配が実現されています。

 

 イスラム教国ではコーランに基づくイスラム法が絶対であり、国王であろうともアラーの意志に逆らうことはできませんので、これも法の支配が実現されているといえるでしょう。

 

 日本においては、江戸時代までは法よりも天皇や将軍の命令が優先されていましたが、明治時代に、西洋諸国とは全く異なる驚くべき方法で法の支配を実現しました。

その方法が何なのか、興味のある方はぜひ拙著

 

 をご参照ください。

 

法の支配なき民主化で世論が暴走

 というわけで、1980年時点で法の支配が実現されていないのは、中国、韓国、北朝鮮とアフリカの一部の独裁国家のみという状況だったわけです。この中で、民主化に成功し、その後も民主主義を実現し続けているのは韓国のみということです。

 

 その結果、どういう状況がもたらされたのでしょうか?

 

 民主制において主権を持っているのは国民です。

 

 国民の意志は世論によって示されます。しかしその世論はマスコミの操作によって簡単に誘導されてしまいます。

 

 しかも韓国では法の支配が実現していません。これは議会の作った法律よりも、大統領の命令よりも、ひいては他国との間に結ばれた国際条約よりも、世論が優先されるということを意味しています。

 

 マスコミの誘導によって形成された世論を、止めるものは何もないのです。

 

 この後韓国では、世論によって大統領が処刑され、世論によって国際条約が破棄され、世論によって企業間の契約が廃棄され、世論によって歴史が捏造され、世論によって他国の資産が没収される事態が頻発することになります。

 

 日韓関係においてもこれは例外ではありません。この時点ですでに形成されていて、日本のマスコミが主導していた、韓国が日本から金を巻き上げるシステムは、これ以降、韓国世論にひきずられ、さらなる暴走を実現していくことになるのです。