笹原シュン☆これ今、旬!!

日本で、世界で、今まさに旬のトピックスをお届けします。政治、経済、文化、世界情勢など、噛み砕いてわかりやすく解説していければと考えています。同時に、日本の在り方、進むべき道についても、示していければと思っております。

日米経済戦争20 リーマンショックは、日本人の貯蓄を奪い取るための計画倒産だった!? 史上最大の金融崩壊の裏に隠されたカラクリとは?①

アメリカの不動産バブル

 これまでの記事で、日本は80年代後半に不動産バブルを迎え、91年にバブルが崩壊、日本人が積み上げた富を軒並みアメリカDSに収奪されてしまったことを述べてきました。

 

 そして収奪した側のアメリカでも、一足遅れて90年代後半から、不動産バブルが発生します。

 

 

アメリカの不動産価格

 日本から収奪したお金を国内で分配し、国民が豊かになったことによって、不動産価格の大幅な上昇が起こったわけです。

 

 グラフを見ると、2000年にITバブルの崩壊で不動産価格が下落していますが、それ以外は96年から04年まで、不動産価格は右肩上がりに推移していることがわかります。

 

 これによって、日本における80年代後半のように、アメリカ国内でも不動産投資が過熱していきます。

 

 日本では銀行からローンを借りて土地を買って、値上がりを待ってそれを売却するというスタイルでしたが、アメリカの不動産投資はこれとは一味違っていました。

 

サブプライムローン登場

 アメリカでも日本と同じく、不動産や株などの資産を持っている人が、それらを担保にして銀行からお金を借り、住宅を購入することが行われていました。

 

 これらの担保の裏付けのあるローンは、プライムローンと呼ばれていました。

 

 これ以外にも、アメリカでは、まったく資産を持っていない人を対象に、無担保で、不動産の購入資金を融資することが広く行われていました。

 

 日本では絶対に銀行がお金を貸してくれない、資産のないサラリーマンや主婦、学生や、アルバイトでも、アメリカではお金を貸してもらえるのです。

 

 このローンはサブプライムローンと呼ばれています。

 

 アメリカでは、住宅ローンを借りて、それを完済すれば住宅の所有権を取得できるのは日本と同じです。

 

 さらに、住宅ローンが途中で返せなくなった時、アメリカでは、住宅の所有権を放棄し、住宅から退去すれば、残りのローンが帳消しになります。

 

 広大な邸宅をとりあえず買って、返済できる期間だけそこに住み、返済が苦しくなればさっさと退去して残りのローンを帳消しにする、ということが可能なのです。

 

 このため、完済のあてがなくても住宅ローンを借り、とりあえず住宅を購入する、という人がたくさん現れ、サブプライムローンが大繁盛したというわけです。

 

 貸す側からみても、ローンが完済されないときは住宅がそのまま手に入るので、住宅が値上がりを続けている限り、何の問題もなかったわけです。

 

ローンの証券化

 しかし、強欲なアメリカDSが、この程度の利益で納得するはずはありません。

 

 アメリカでは、ただローンを貸して利子をとる、という以外に、貸し出したローンそのものを加工して、利益を得るためのさまざまな仕組みが編み出されていきました。

 

 これらのからくりは、総称してローンの証券化と呼ばれています。

 

 アメリカの金融機関は、住宅ローンを貸し出したとしても、悠長にその返済を待ったりはしません。

 

 住宅ローンそのもの、ローンを取り立てる権利をSPCと呼ばれる、証券化を目的とした、実体のないペーパーカンパニーに売り払ってしまうのです。

 

 SPCは、かき集めた住宅ローンを用いて、さまざまな証券を作り上げます。

 

 たとえば、10個のサブプライムローンを、それぞれ10分割して、それぞれのローンの10分の1ずつをかき集めた複合債権を作り、それをパッケージとして売りに出します。

 

 このようにしてできた、複数の住宅ローンによる複合債権はMBS(不動産担保証券)と呼ばれています。

 

 彼らに言わせると、サブプライムローンは単独では返済不能になる確率が高いが、ばらばらに細分化してそれらをかき集めれば、回収不能になる確率は極めて低いものになり、リスクが小さくなる、ということのようです。

 

 このような複合債権は、通常年10%程度の利回りを誇っていました。もともとのローンが3%程度の利率(当時)だったので、買う側にとってみれば、ローンそのものを買い取るよりもはるかにお得、ということです。

 

 売る側にとっては、MBSをじゃんじゃん売って、資金を作り、それで新たな不動産を購入すれば、10%以上の値上がり幅があれば大儲けできる、というわけです。

 

 これだけでもなんか危なそうだな、と感じる方は、優れた直観をお持ちです。

 

 さらにやばいのが、CDS(クレジットデフォルトスワップ)と呼ばれる債券です。

 

 これは、ローンがデフォルト(債務不履行)しないための保険、なんて言われていますが、実際には対象のローンがデフォルトになるかどうかを予想する賭けのようなものです。

 

 ○○さんは、この住宅ローンを払えなくなる、と予想し、ローンを払い続けているうちは保険料を払い続け、ローンを払えなくなったり、満期になったりすると、掛け金がもらえるという仕組みです。

 

 CDSの対象は、自分とは全く関係ないローンでもよく、さらには○○社が破綻する、とか、○○さんが破産するとかでもいいわけです。

 

 CDSの運用法はとても複雑なのでここでは省略しますが、不動産ローンに適用される限りにおいては、MBSとほとんど同じ性格の債権となります。

 

 10個のローンを寄せ集めた、10万ドルの債権すべてをデフォルトするに賭け、最初に保険料10万ドルをまとめて支払い、一年後にひとつも破綻しなければ、満期金11万ドルを受け取ればいいわけです。

 

 これは10万ドルの債権を買って、1年後に10%の利子付きで11万ドル受け取るMBSと、まったく同じことになります。もちろんローンが一つも破綻しなければ、のことですが。

 

 CDSは、すでにMBSの対象となっているローンについてもかけることができますので、MBSを作って、それらにCDSをかけ、組み合わせを変えてまたCDSをかけ・・・を繰り返していくと、一つのローンで、その5~6倍の金額の証券を生み出すことができるわけです。

 

格付け機関の跋扈

 今から考えてみると、かなりあやしいことをやっていたのがわかりますが、もちろん当時の人たちも、なんかあやしいな、大丈夫なのかな、と思っていた人は多かったようです。

 

 というわけで、DSは、個人投資家や機関投資家の不安を払しょくするために、さまざまなからくりを考え出しました。

 

 ひとつは、MBS、不動産担保証券の保証を行う機関です。

 

 ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)などの政府系住宅金融会社を設立し、これらの会社が債権の元利支払いを保証しました。

 

 もうひとつは、格付け機関と呼ばれる機関です。

 

 ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチなどの債権の格付け専門の会社が設立され、これらの格付け機関が各種債権の安全性についての評価を行いました。

 

 最初のころは、ほんとかよ、と言っていた人々も、だんだんこれらの格付け機関の評価を無条件で信じるようになり、最高ランクのAAAが付いた債権は、何も考えずにそのまま買う、という風潮ができていきます。

 

 この時期、不動産のサブプライムローンを切り貼りして作られた、MBSやCDSに対して、これらの格付け機関は軒並み最高ランクAAAの評価(ムーディーズはAaaと表記)を下していました。

 

 アメリカ国債の評価は同じくAAA、日本国債の評価は、ワンランク下のAAa とされていました。

 

 完済するつもりで借りているかどうかもわからないサブプライムローンの寄せ集め債権が、原理的に破綻可能性がそもそもない日本国債よりも高い評価を受けていたのです。

 

ノーベル経済学賞の欺瞞

 これらの債権の作成には、経済学の一分野である、金融工学の理論が用いられていました。

 

 金融工学の基礎となった計算式である、ブラックーショールズ方程式を提唱した経済学者、マイロン・ショールズは、この功績によって、1997年、ノーベル経済学賞を受賞しています。

 

 たとえサブプライムローンを切り貼りした証券であっても、ノーベル経済学賞を受けた学者の理論で作成され、格付け会社が最高ランクをつけ、政府系金融会社が保証してるんだから、何の心配もないだろう、

 

 ということで、世界中の投資家が、これらのMBSやCDSを、先を争うように買いあさっていったわけです。

 

 マイロン・ショールズは、リーマンショック後に、世界中から批判を受けます。

 

 お前が太鼓判押したから信用したんだろ、どうしてくれるんだ、ということです。

 

 これでノーベル経済学賞の権威は失墜した、なんて言われていますが、そもそもの話、ノーベル賞には経済学賞はないのです。

 

 ノーベル賞は、ダイナマイトで財を成したスウェーデン人のアルフレッド・ノーベルの遺言によって設立されました。

 

 ノーベルは、自身の遺産を基金とし、毎年その利子を、物理学、化学、医学・生理学、文学、平和に貢献した人物に分配するよう遺言しました。

 

 この遺言に基づいて、ノーベル財団が設立され、1901年から、ノーベル賞の授与が始まっています。

 

 そのおよそ70年後の1969年に、スウェーデン国立銀行の働きかけでノーベル賞と同時に、経済学賞が授与されることになりました。

 

 この賞の正式名称は、「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」であり、いわゆるノーベル賞とは全く別のものです。

 

 ノーベル財団も、経済学賞はノーベル賞ではない、としています。

 

 DSのごり押しによって作られたこの賞は、ノーベル賞ではないにもかかわらず、世界中のマスコミで「ノーベル経済学賞」と報道され、誤認されています。

 

 そもそも経済学は、DSによって創られたインチキ金融経済システムを正当化するための学問です。

 

 その経済学に、さらなる権威を与え、民衆を金融システムの嘘から効果的に目をそらさせるために、DS によってでっち上げられた賞が、ノーベル経済学賞である、ということができます。

 

投資会社の跋扈

 以上のような経済状況を背景に、アメリカを中心に欧米各国に、投資会社と呼ばれる形態の会社が設立され、巨大な利益を上げていました。

 

 これらの投資会社が何をやっているかというと、ようするに、銀行からお金を借りて、MBSやCDSを大量に購入し、利益配分を受けるだけです。

 

 投資会社は最初に民間から資金を募集します。この資金にレバレッジをかけて、債券を購入するわけです。

 

 レバレッジというとかっこいいですが、ようするに、持っている資金以上のお金を銀行から借りているということです。

 

 例えば100万ドルの資金を集めたとして、これを見せ金にして銀行から1000万ドルの資金を借りれば、レバレッジ10倍です。

 

 当時の投資会社は大体10倍から12,5倍程度のレバレッジをかけていました。

 

 手持ち資金の10~12,5倍のお金を銀行から借りているということです。

 

 この銀行から借りた1000万ドルの資金でMBSやCDSを購入し、年利10%の利率で償還を受ければ、翌年1100万ドルが手元に入ってくるわけです。

 

 3%程度の銀行への金利を払い、元本を返済すれば、70万ドルの収入になります。

最初に集めた資金を合わせて、100万ドルが一年で170万ドルになるわけです。

 

 すごい利益率ですが、これは、銀行が手持ち資金の10倍以上の資金を融資していたからこそ、できるわざです。

 

 銀行の金利も含めて、12.5倍のレバレッジをかけて、MBSやCDSを購入すれば、だいたい一年で、手持ち資金が2倍になります。

 

 この手法で、集めた資金を倍々にし、投資会社は発展を続けていったのです。

 

サブプライムローンの崩壊

 まあしかし、こんなインチキが続くのは、不動産価格が値上がりを続けている間だけです。

 

 2004年に入ると、不動産価格は頭打ちとなり、緩やかな値下がりが始まりました。

 

 2005年になると、アメリカ不動産バブルは完全に崩壊し、だれの目にも住宅価格の値下がりがわかるようになりました。

 

 ここでサブプライムローンを借りていた、低所得者たちのローン返済放棄が目立つようになります。

 

 アメリカでは住宅を手放せば残りのローンは払わなくていいので、ローンの返済が負担になった人たちはさっさと住宅を放棄して引っ越していきます。

 

 MBSやCDSは、複雑な数式を基にした金融工学によるリスクヘッジが施されていましたが、それも、寄せ集められたローンのごく一部が、確率通りに放棄された時の話です。

 

 寄せ集めたサブプライムローンのほとんど、あるいはすべてのローンが、回収不能になってしまうと、さすがに債権の価値はなくなり、紙くずとなってしまうのです。

 

 しかも欧米の投資会社のほとんどは、10倍以上のレバレッジをかけて投資を行っていました。

 

 100万ドルしかもっていないのに、1000万ドルの銀行融資を受けているわけです。

 

 1000万ドルの銀行融資には、それで購入した1000万ドル分の債権が担保となっています。

 

 ここで債券価格が一割落ちると、担保価値が900万ドルとなり、銀行から差し引き100万ドル分の追加担保の提出を求められるわけです。

 

 ここで銀行に手持ち資金の100万ドルを支払ってしまうと、それでもう資金は底をついてしまいます。

 

 2006年に入ると、MBSやCDSの価格は元本の半額以下になってしまいました。

 

 債券価格が半額になっても、もちろん銀行への負債はそのまま残ります。

 

 1000万ドルの融資を受け、債券の担保価値が500万ドルになってしまうと、残り500万ドルの支払いを要求されることになります。

 

 もちろんこんなお金はどこにもありません。

 

 投資会社がバタバタ倒れ、融資が回収不能になった銀行が倒れ、不動産価格がさらに値下がりし・・・、という、悪夢のスパイラルが実現してしまうわけです。

 

リーマンショックの発生 

 2007年8月9日、フランスのBNPパリバ傘下のミューチュアルファンドが破綻します。

 

 これによって、サブプライムローン寄せ集め債券は、買い手がつかなくなり、市場が大混乱をきたします。

 

 2008年3月には、全米5位の証券会社ベアー・スターンズが経営危機に陥ります。

 

 ベアー・スターンズはJPモルガンが買収することになり、何とか市場崩壊の危機は逃れたかと思われました。

 

 しかし2008年9月、全米3位の証券会社、リーマン・ブラザーズが、経営破綻に陥ります。

 

 負債総額はなんと41兆円、アメリカの歴史上最大の倒産劇となりました。

 

 金融市場は完全に崩壊し、MBSやCDSは紙くずとなり、株価は暴落し、為替相場は乱高下を繰り返します。

 

 この破綻は全世界に飛び火し、世界中の投資会社や銀行が次々と倒産する、戦後最大の金融恐慌が発生したのでした・・・。

 

 もちろん日本にも、リーマンショックの余波は及びました。

 

 日経平均株価は、2007年7月には、1万8261円まで戻していましたが、2008年9月のリーマンショックで早速大暴落が始まり、

 

 同年10月28日には、一時6994円90銭まで落ち込み、7000円を割り込んで、バブル崩壊後の最安値を記録しました。

 

日本のGDP

 GDPは一足早く、2007年から-1.1%とマイナス成長を記録していましたが、2008年はさらに3.7%落ち込み、-4.8%となりました・・・。

 

リーマンショックの裏に隠されたカラクリ

 以上、リーマンショックのあらましを述べましたが、こうしてみると、一見自然にアメリカの不動産バブルが崩壊し、それが世界経済に波及していったように見えます。

 

 しかし、よく見てみると、この経済崩壊は巧妙に仕組まれたものであることがわかります。

 

 この裏にあるのは、ユダヤ金融資本による、日本人の金融資産の強奪だったのです。