笹原シュン☆これ今、旬!!

日本で、世界で、今まさに旬のトピックスをお届けします。政治、経済、文化、世界情勢など、噛み砕いてわかりやすく解説していければと考えています。同時に、日本の在り方、進むべき道についても、示していければと思っております。

コロナ後の日中関係12 欧米諸国が中国の悪辣さを認識

コロナをアメリカのせいにした中国

 コロナが世界中に広まり始めた2020年3月のことでした。この時点で世界の国々は、新型コロナウィルスを中国発祥と認識し、それが武官の海鮮市場から漏れたのか、ウィルス研究所から漏れたのかが話題となっていました。

 

そこでアメリカ国務長官(外務大臣)のマイク・ポンペオ氏はコロナウィルスのことを「武漢ウィルス」と呼び、それに対して、中国政府が反発していました。

www.afpbb.com

 

トランプ大統領も、ツィッターで新型コロナウィルスを「中国ウィルス」と呼んでいました。中国はこれに対しても反発しました。

 

 たとえば3月16日のトランプ大統領のツィートは

 

「特に中国ウイルスのあおりを食っている航空会社などの業界を強力に支援していく」

 

というものでした。それに対して中国は激烈なリアクションを示しました。

 

外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は同日の定例記者会見で、中国と新型ウイルスを結び付けることは「一種汚名を着せること」であり、われわれは強く憤慨しており、断固反対する」とし、米国は「直ちに中国に対する不当な非難をやめるべきだ」と述べた。【3月17日 AFP】

 

www.afpbb.com

 

 トランプ大統領は航空会社の支援について述べただけです。しかし中国は、その発言の趣旨の部分ではなく、「中国ウィルス」の部分に反応したわけです。

 

 さらに決定的だったのは翌3月17日の中国政府の声明でした。

 

3月12日夜、中国外交部の趙立堅報道官は英語と中国語で、新型コロナウイルスは米軍によって中国・武漢に持ち込まれたという内容のツイートを発信した。

趙立堅のツイッター発言を比較的正確に訳すと、「ゼロ号患者(未確認の最初の症例)はいつ米国で発生したのだ? 何人が感染したのか? 病院の名前はなんだ? おそらく米軍が武漢に持ち込んだのだろう。米国は透明性を! データを公表しろ! 我々に説明していないじゃないか!」となる。

 

jbpress.ismedia.jp

 

 なんと中国政府は、新型コロナウィルスが、アメリカ軍によって武漢に持ち込まれたと主張したのです。

 

 しかもその内容はいきなりけんか腰になっていますね。

 

 トランプ大統領はもちろんこれに押収し、新型コロナウィルスは中国起源だと強く主張します。

 

 このやり取りを見ていた世界各国は驚愕しました。もちろん日本を除いてですが…

 

日本人の感覚はマヒしている

 この記事をお読みの日本人の読者は、「なんでおどろくの?」「中国はいつもこうじゃん」とお思いの方が多いと思います。

 

 それはもちろん、日本人は中国のやり口をよく知っているからです。

 

 まず中国は絶対に自らの過ちを認めません。天安門事件で自国民1万人を虐殺した時も、チベットはウィグルで何百万人の人々を強制収容所に入れて、強制労働を行っているのが発覚した時も、百万人規模の反政府デモを鎮圧(自国民皆殺し)した時も、諸外国から非難されても、謝ったことはありません。

 

 それどころか、証拠が挙がっていても、事実自体を否定します。

 

 また自らに都合がよい事実をでっちあげ、証拠を捏造します。南京で日本兵が30万人の市民を虐殺した、と主張し、証拠と称する文書を自分で作って持ってくるわけです。

 

 まぁ、当時総人口20万人の南京で30万人虐殺した証拠を捏造するのですから、相当なものです。

 

 これは今に始まったことではなく、室町時代に、明の海禁政策で密貿易商となり、海岸を荒らしまわった自国の海賊を「倭寇」と呼んで、日本人のせいにしたころから、全く同じことを繰り返しています。

 

 日本人は500年以上にわたって、これをやられていますから、「中国というのはそういう国だ」と思ってこれを受け入れてしまっています。

 

 日本人の感覚は完全にマヒしているのです。

 

 しかしもちろん、日本以外の世界各国はそうではありません。

 

中国の対応に世界が驚愕

 中国のやり口を認識していない日本以外の世界の国々は、このアメリカと中国の欧州を見て驚愕しました。

 

 例えば、ある自動車会社が、ブレーキに不具合のある自動車を発売してしまい、これによって事故が起き、死者が出たとします。

 

 その会社は、記者会見を開き、謝罪及び、遺族への賠償を行い、その自動車を企業自ら費用を負担して回収します。その後原因を調査し、問題点を改善して、不具合を取り除き、改めて新たな自動車を販売するという手順を踏みます。

 

 外交もこれと同じで、何らかの原因で他国に被害を与えた場合は、すぐに事実を公表し、謝罪をして、補償を行ったうえで、原因を究明、再発を防止するというのが世界の常識です。

 

 しかし中国に至っては、自国が原因で世界に広まったウィルスについて、謝罪をしないばかりか、初動において事実を隠蔽し、被害を拡大させました。

 

 それを他国に指摘されても、それを否定し、そればかりか、開き直ってそれを相手のせいにしてきたわけです。

 

 しかもその発言の内容が、上で述べたように、全く証拠もないのに、アメリカがやったと決めつけ、さらにはアメリカを罵倒するという、幼稚なものでした。

 

 これを見て世界中の国々がついに気づいたのです「ああ、中国というのはこういう国なのだ」と。

 

 その後もアメリカと中国の欧州は続きましたが、トランプ大統領はついに決意したようです。

 

 「中国には何を言っても無駄だ」「この国とは断固戦ってつぶさなければならない」と。

www.newsweekjapan.jp

 

なぜ中国は開き直るのか?

 それではなぜ、中国は、こういう用地で不可解と思える行動をとるのかを、説明しておきましょう。

 

 何度も申し上げましたが、中国は儒教国です。儒教で何より重視されるのは上下関係の秩序です。そして中国は現在でも中華思想を信奉しており、中国が世界の中心で、中華皇帝(中国の国家主席)が、世界中の国々を支配すると本気で思っています。

 

 中国人の頭の中では、中国国家主席は他の国々の国家元首よりも上位にあります。儒教では上位の者は無謬であり、下位の者が上位の者の過ちを指摘することは許されません。

 

 下位であるアメリカの大統領や国務長官が、上位である中国の国家主席の過ちを指摘するとは何事だ、というのが、中国がアメリカ首脳の発言に反発する理由です。

 

 新型コロナが実際にどこ期限なのかというのはどうでもいいのです。それよりも、中国主席とアメリカ大統領の上下関係を確認する方が、彼らにとっては重要なわけです。

 

 この状況で、アメリカが全くひるまずに、中国の過ちを指摘し続けた時、彼らはどう考えるでしょうか?

 

 この期に及んで、中国がアメリカとの上下関係を維持するには、中国が指摘されている過ちよりも、さらに大きな過ちをアメリカが犯しているとするしかありません。

 

 それで、「コロナはアメリカ軍が広めた」と主張するわけです。もちろん証拠はありませんので、捏造します。

 

 実際にアメリカ軍が広めたかはどうでもよく、アメリカが主張してきた中国の過ちを回避し、向こうがさらに大きな過ちを犯したと主張できさえすれば、上下関係が保たれると考えるわけです。

 

 もしも相手が儒教国であれば、ここで、「ははっ、おっしゃるとおりです。(俺はそんなことやってないけど)私の誤りでした」といって、引き下がらなくてはならないわけです。

 

世界各国の反応

 

 しかし、こんなことは非儒教国である、世界の国々にとってはどうでもよいことです。

 

 儒教の上下関係なんか知ったこっちゃない世界の国々から見ると、中国の行為は、「自らの過ちを認めず、開き直って、相手に罪を擦り付ける悪辣な行為」に見えるわけです。

 

 もちろんそのとおりなのですが。

 

 この悪辣な行為を繰り返す中国には、制裁を加えなければならない、というのが世界の合意になりつつあります。

 

 今まで日本が世界中に主張し続けても、理解してもらえなかった中国の悪辣さが、コロナによって、白日の下にさらされたというわけです。