笹原シュン☆これ今、旬!!

日本で、世界で、今まさに旬のトピックスをお届けします。政治、経済、文化、世界情勢など、噛み砕いてわかりやすく解説していければと考えています。同時に、日本の在り方、進むべき道についても、示していければと思っております。

コロナ後の日韓関係7 悪夢の民主党政権終焉、安倍政権、韓国へと反撃開始!!

第2次安倍政権の誕生

 日本では2012年12月、悪夢の民主党政権が終了しました。その後、安倍総裁のもとで行われた12月16日の衆議院議員総選挙で、自民党は大勝し、政権の座に返り咲きます。

 12月26日、安倍晋三が2度目の内閣総理大臣に就任します。一度辞めた首相がふたたび政権の座に返り咲くのは、吉田茂以来のことです。

 

外交関係の修復

 安倍首相が就任後、すぐに着手したことは、民主党政権によってガタガタになった外交関係の修復です。その方針は、日米同盟をより強固なものとし、中国を仮想敵国と定めてその包囲網を構築するというものでした。

 

 これは「自由と繁栄の弧」とよばれています。北東アジアから東南アジア、インド、中東、中央アジア、東欧に至る道筋にある国々が共同歩調で歩み、日本のリーダーシップの元で、この地域の国々の発展をはかるというものです。

 これは日本から東欧に至る、下側に膨らんだ弧の形をしており、ちょうど中国を囲む形になっていますね。ようするに、中国に隣接する各国が共同して中国を封じ込めようという戦略です。 

 

 2度目の内閣総理大臣就任後、安倍首相が最初に選んだ外遊先はベトナムでした。就任直後の1013年1月16日にベトナムを訪れた安倍首相は、そのままタイ、インドネシアに向かいます。ここでASEAN各国首脳に、日本はASEANと対等な立場でともに歩んでゆくと伝えます。


 これはつまり、最大の国防課題である中国の南沙諸島埋め立て問題を何とかしようという意図でしょう。南沙諸島で中国が実効支配している島は、ほとんどベトナムから武力で奪い取ったものです。


 そこで奪い取られた側のベトナムに、まず話を通し、周辺諸国と協力して中国を封じ込める態勢を構築しようということだと思われます。


 その後安倍首相は、アメリカ、インド、オーストラリアの指導者と相次いで会談し、日米印豪4カ国戦略対話と呼ばれるシステムを構築します。これはようするに、この4国の間の軍事同盟のようなものです。

 

 実際に軍事同盟を結んでいるのは、アメリカと日本、アメリカとインド、アメリカとオーストラリアです。日本、インド、オーストラリアの3国間には、同盟は締結されていません。しかしアメリカを仲立ちにしてこの4カ国を結びつけ、4国の合同軍事演習をやるようにしたわけです。
 
 まあ、世界地図を見るまでもなくわかると思いますが、日本、インド、オーストラリア、アメリカの四国を結ぶと、太平洋、インド洋の上に、ひし形の防壁が出来上がります。これは中国の太平洋への出口をふさぎつつ、中央にある南沙諸島を包囲するという、理想的な防衛網です。これは明らかに中国本土を押さえ込みつつ、中国の太平洋への出口をふさぐ、中国包囲網に他なりません。


 さらには、東南アジアおよびオセアニア地域に対する、武器供与も開始しました。安倍首相は、13年7月、東南アジア歴訪の中で、フィリピンを訪れ、アキノ大統領(当時)と会談し、海洋警備のために日本の巡視船10隻を供与することを約束しました。

 

 さらに2016年9月に、ラオスにおいてフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した安倍首相は、前期の10隻に加え、さらに90メートル級の大型巡視艇2隻の供与を約束します。2017年にはベトナムのハノイにおいて、ベトナムのフック首相と会談し、巡視船6隻の供与を決めました。こちらは新造の巡視船です。ベトナムのために最新鋭の巡視船を6隻建造し、それを供与するということです。


 これらは明らかに、南沙諸島周辺諸国の武力強化を図ったものです。日本は直接手は出せないけど、中国が暴れだしたらこれらの巡視船を使って戦ってね、ということです。特に中国軍と直接戦火を交え、島を奪われたベトナムには、出血大サービスで最新鋭艦をプレゼントします、今度は負けないでね、ということです。

 

慰安婦の盾の構築 

 一方で、執拗に文句を言い続ける韓国に対しては、それを抑え込む壮大な仕掛けを用意していきます。

 その抑え込みの基点となったのが、2015年12月28日に行われた、従軍慰安婦日韓合意です。これはソウルにおいて、岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世外交部長官(外相)との間の共同記者会見の形で発表されたものです。

 

 文書は作っていませんが、記者会見の映像は全世界に向けて発信され、ネット上でいつでも見ることが出来ます。
 合意内容は以下のとおりです。

1.日本は韓国政府が元従軍慰安婦のために設置する財団に10億円を拠出する。

2.韓国は、日本大使館前をはじめとする、韓国国内の従軍慰安婦像を撤去する。

3.これは従軍慰安婦問題に対する「最終的」かつ「不可逆的」な解決とする。

 その後、安倍首相が朴槿恵大統領(当時)と電話会談を行い、「元慰安婦の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみを思うと心が痛みます。心からおわびと反省の気持ちを表明します」と言って、謝罪と反省を行う、という流れです。


 なんだそりゃ、慰安婦に対してお詫びと反省をして、金を払っているじゃないか、民主党政権とどこが違うんだ、とおっしゃる方は、この合意以後の流れを見て下さい。


 まずは日本の側が、早々と合意内容を履行します。2016年8月31日に、日本政府は、韓国政府が元従軍慰安婦のために作った「和解・癒し財団」に10億円を拠出し、財団が設立されました。財団は早速この拠出金から、元従軍慰安婦およびその遺族に現金の支給を行いました。


 この後日本政府は、韓国政府に対し、まずは日本大使館(が取り壊された後の更地)前の慰安婦像の撤去を申し入れます。しかし韓国政府は、国民世論を理由としてこれを拒み、撤去は行われませんでした。

 

 その後、17年には、この日本大使館前の慰安婦像が、特別公共物に指定され、撤去は更に困難となりました。そればかりか17年12月には釜山の日本領事館前にも慰安婦像が設置され、韓国国内にさらに36体、海外にはさらに6体の慰安婦像が追加で設置されました。


 まあ、予想通りの展開です。安倍首相もこんなことは最初から織り込み済みです。問題はこの後です。

 

 案の定韓国は、謝罪と賠償のお代わりを要求してきます。2016年9月には、韓国外務省が安倍首相に対して元慰安婦に謝罪の手紙を送ることを求め、10月には尹炳世外相が、ひざまずいて謝罪することを要求しました。

 

 これに対して日本政府は、先の慰安婦合意が「最終的」かつ「不可逆的」な解決であるとして、それ以上の追加措置は一切行わないことを表明しました。


 「崔順実ゲート事件」で朴槿恵大統領が失脚すると、韓国世論は案の定、慰安婦合意を破棄し、新たな合意を行うことを要求するようになります。後任の文在寅大統領は、慰安婦合意は多くの韓国人にとって心情的に受け入れられない、として慰安婦合意の破棄を要求してきます。安倍首相は、慰安婦合意は「最終的」かつ「不可逆的」な解決であるとして、一蹴します。


 また韓国が日韓首脳会談をしようといってくると、「慰安婦合意が履行されていない、履行が行われない限り会うことは出来ない」といって拒否し、日本からの援助を引き出そうとしても、「慰安婦合意が履行されていない、国際条約を守らない国に援助は出来ない」といって拒否するようになりました。
 

 すでに決まっていた援助の破棄にもこの合意は役に立っています。先ほど述べた釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置された後、日本政府は対抗措置として、以下の事を行いました。
 
1.長嶺日本大使と森本日本総領事の一時帰国
2.日韓通貨スワップ協定協議の中断
3.日韓ハイレベル経済協議の延期
4.在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ

 まあ、1と4は、はっきり言ってどうでもいいですね。長嶺大使と森本総領事は1月6日に帰国し、1月20日には、また赴任していますので、お約束の抗議といえるでしょう。


 重要なのは2と3です。通貨スワップというのは、前章で説明しましたが、ようするに日本が韓国の外貨建ての借金を肩代わりするシステムです。本来は借入金であり、返済されるべきお金であるのですが、韓国が日本にスワップ資金を返済したことは一度もありません。

 

 民主党野田内閣において大幅に増額され700億ドル(5兆5千億円)となっていたスワップ枠が、このときは更新されず期限切れになっていました。

 

 韓国はスワップ枠を必ず使い切りますから、野田内閣は韓国に5兆5千億円を献上したということです。安倍内閣に代わっても、韓国はこれの更新を要求して日本との間の協議に入っていました。これの更新の協議を、慰安婦像を出しにして中断できたということは、新たに韓国に対して5兆5千億円を渡さなくてよくなったということです。


 また日韓ハイレベル経済協議というのは、日本の銀行による韓国の銀行への融資枠を決める協議のことです。

 

 韓国は単独では国際的信用がないので、国が発行する国債や、会社が発行する社債が売れません。日本銀行が韓国銀行への融資を行い、日本の一般銀行が韓国国内の銀行へと融資を行う枠を設定することによって、他の国からは韓国の国債や社債を日本政府や日本の銀行が担保しているように見えます。これで韓国の債権が信用を得て、他国が買ってくれるというわけです。

 

 ハイレベル経済協議ではこの融資枠、すなわち韓国債権を日本が担保する金額を決めていました。これを延期したということは、もう日本は韓国の再建を担保しないということを、全世界に向けて表明したというわけです。これ以降、韓国の債権は、国際市場で全く売れなくなります。ようするに、外国からの資金調達が出来なくなったというわけです。


 これは実にうまいですね。まずはとりあえず謝罪して10億円を支払う。まあ、10億円なんて日本政府にとっては、はした金のようなものです。その合意の発表の映像を全世界に発信する。韓国に約束どおり、慰安婦像の撤去を要求する。当然履行しない。そしてこれを履行しないことを理由に、過去に民主党政権が払うと約束したお金の支払いを停止する。さらにそれ以降の韓国からの要求を、慰安婦合意を履行していないことを理由に全てはねつける。すばらしいです。


 それまでの政権なら、スワップで5.5兆、銀行融資で2兆、謝罪に対する賠償で1兆、その後のお代わりを全部払って、合計10兆円ぐらい払っていたはずです。つまり安倍政権は、10億円を支払うことで、10兆円の支出を防いだというわけです。まさに肉を切らせて骨を断つ政策といえるでしょう。


 そればかりではありません。慰安婦合意を履行しないことを理由に、これ以後の韓国からの要求をすべて拒否することが出来るようになったわけです。

 日本は「慰安婦合意の盾」によって、韓国から守られたといえるでしょう。

 

 しかも合意の映像が全世界に拡散していますから、世界中の全ての国が、韓国が国際条約を履行していないことを確認できます。国際世論を完全に味方につけることが出来るというわけです。


 本来ならば日韓基本条約を盾に全てはじくことも出来たはずですが、この条約は65年に成立し、ずいぶん時間がたっています。しかも国際的にはこれを知らない国も多いですし、韓国国民はそもそも存在自体知らない人が数多くいます。ここで新たな国際条約を結び、韓国国民を含む全世界にこれを知らせ、韓国がこれを守らないことを確認させたうえで、これを理由に以後の全ての要求を拒絶する、


そのための新たな根拠を、10億円というはした金を払って、手に入れることが出来たというわけです。これは実に老練な外交政策であるといえるでしょう。

 

菅官房長官の即時反論

 もう一つ、安倍内閣の対韓政策として特徴的なのは、韓国がとんでもないことを言ってきたとき、菅官房長官がその日のうちに記者会見を開き、これをきっぱり否定するようになったことです。

 

 2018年12月20日、韓国海軍の駆逐艦が、自衛隊哨戒機に対して火器管制レーダーを照射した際には、「このような事案が発生したことはきわめて遺憾であります。引き続き韓国側に再発防止を強く求めます」と述べ、抗議の意思を示しました。 


 2019年3月27日、韓国の文喜相国会議長が、慰安婦問題について、天皇陛下が謝罪すれば解決すると述べたとき、やはりその日のうちに記者会見を開き、「韓国国会議長の一連の発言は、甚だしく不適切であり、コメントする気にもならない」と否定しました。

 

 ただ単に、相手の暴言を即時に否定するだけなのですが、これをやるのとやらないのは天と地の差があります。

 

 どんなにとんでもないことでも、否定しないでいるとそれを日本が認めたことにされてしまい、既成事実化されてしまいます。これを防ぎ、第3国からの信頼を得るためにも、即時反論はとても大切なことです。

 

対韓言論戦の用意が整う

 2017年に「慰安婦の盾」が完成した時点で日本は韓国の要求をすべて拒否できることになりました。この時点で対韓戦の勝利と、韓国の滅亡は決定していたといえるでしょう。

 

 韓国が何か言ってきたとしても、菅官房長官が記者会見を開いて即時に否定し、その後の要求はすべて「慰安婦合意を履行していない国の要求は聞き入れられない」といって拒否していけばいいのです。 

 

 それ以降も韓国は日本に様々ないちゃもんをつけてきましたが、それらはすべて「慰安婦の盾」によってはじき返され、日本から韓国への資金の流れは完全に停止しました。

 

 あとはじっくりと韓国が干上がるのを見物するだけ・・・なのですが、韓国の側もあの手この手を使って日本からお金を搾り取ろうと画策し、日本がこれを交わしていく展開が続くことになります。