日朝首脳会談の開催
2002年9月17日、平壌の百花園招待所にて、日朝首脳会談が行われました。出席者は、日本側は、内閣総理大臣(当時)小泉純一郎、北朝鮮側は、国防委員長(当時)金正日です。
小泉首相の後ろに、会談に同席した安倍晋三氏の姿も映っていますね。
報道によると、
北朝鮮側は、日本人を拉致した事実を認め、謝罪した。 日本側の安否確認に対して、北朝鮮側は地村保志、浜本富貴恵、蓮池薫、奥土祐木子の4人の生存を明らかにし、横田めぐみ、田口八重子、市川修一、増元るみ子、原敕晁、松木薫、石岡亨、有本恵子の8人を「死亡」と発表した。 更に、日本側も把握していなかった曽我ひとみの拉致・生存と、横田めぐみの娘の生存も明らかにした。
となっています。この会談は、やはり日本政府の規制対象になっているようで、この時の報道の記事はすべてネット上から削除されているようです(みなさんも探してみてください)。政府はこれをなかったことにしたいようです。
参考までに、首相官邸と外務省の該当サイトのリンクを貼っておきましたので、ご参照ください。
首脳会談の裏側
この日朝首脳会談は、日本側と北朝鮮側で、全く異なった意味づけを持っていました。まずは、会談に至る経緯を見てみましょう。
前記事でのべたように、拉致問題は、91年に初めて問題となりました。きっかけは、大韓航空機爆破事件の実行犯とされる、金賢姫が、自分に日本の習慣を教えたのが、かつて行方不明になっていた、田口八重子だと自供したからです。
しかしこれは、韓国国内における、韓国警察の捜査を基にしたものです。金賢姫自身が本当に実行犯だったのか、本当に田口八重子が教育官だったのかについては、様々な異論が残されています。
なにはともあれ、この自供に、日本のマスコミが群がり、単なるヘッドハントであった北朝鮮への移住を、北朝鮮による日本人の拉致として騒ぎ立て、「拉致事件」を創作していったわけです。
このころには、拉致被害者の会も発足し、移住者の遺族がマスコミに協力する形で、騒ぎは大きくなっていきました。
ディープステート支配下にあった、日本政府もこの騒ぎに便乗し、遺族に補助金を与え、マスコミの工作に協力していく形をとっていました。
ディープステート幹部の一人である、小泉純一郎氏は、国内におけるこの流れを決定的なものにし、日本国民と北朝鮮国民をいがみあわせ、両国の分断を決定的なものにするために、この会談を設定したものと思われます。
北朝鮮側は、拉致事件なんて全く身に覚えがありません。単なる納得ずくの人材ヘッドハントですから。しかし北朝鮮側は、日本との国交樹立を切望していました。この国交樹立の契機として、史上初の日朝首脳会談に応じたというわけです。
日朝平壌宣言の欺瞞
結果として、この日朝首脳会談は、とんでもない茶番劇となりました。
まずは、平壌空港で、専用機から降り立った小泉純一郎首相を、金正日委員長自ら出迎え、握手を交わします。その時、金正日委員長が、小泉氏に言い放った一言は、
「お互い、外国人の指導者どうしが会談するとは、皮肉なものですね」
というものです。小泉氏は、苦笑いを浮かべていました。
これは、日本人である、北朝鮮の指導者金正日氏と、朝鮮人である、日本の指導者小泉純一郎氏が、互いに会談することを、皮肉ったものと思われます。
会談自体は10分で終わり、あとは雑談と会食パーティーです。ついでに北朝鮮国内の観光も行って、2日間の日程の終わりに、すでに双方合意の下で用意されていた、日朝平壌宣言が締結されました。
原文は外務省のサイトにあります。短い宣言ですので、下のリンクから、ぜひ一度、目を通してみることをお勧めします。
御覧のように、平壌宣言には、「拉致事件」については、一言たりとも触れられていないのがお分かりになると思います。
これは双方の立場で、都合のいいように解釈できる、玉虫色の条文になっています。
日本の立場
まずは日本側は、この条文をどう解釈したかを見てみましょう。
平壌宣言における、拉致問題?についての言及と言われるのは、前文における、
両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。
という記述と、第3章の
3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。
という記述だけです。この、「 日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題について」
「このような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。」という表現を、日本のマスコミは、「北朝鮮は拉致問題を認めて謝罪した。」と解釈して報道しているわけです。
まず、「拉致問題」なんて一言も言ってませんし、謝罪の言葉なんて一言もありません。懸案問題は、ミサイル発射かもしれないし、公海上での漁船拿捕かもしれません。それを気を付けると言っているだけですね。
私の読解力では、この表現から、拉致問題を認めて謝罪した、という結論を導くことはとてもできません。みなさんはどうでしょうか?
さらに注目すべきは、第2章の
2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
という文言です。なんで拉致問題について文句を言っているはずの首相が、過去の植民地支配を謝罪しているのでしょうか。
この文章は、北朝鮮側が必要ないといったのにもかかわらず、小泉首相が絶対入れてくれ、と言ってねじ込んだ文章です。
小泉首相(と、背後にいるDS 、韓国・中国勢力)は、何が何でも、2次大戦において日本が悪事を働いたことにしておかないと都合が悪いので、こんなところに拉致問題とは全く関係ない、謝罪文を忍び込ませているわけです。
北朝鮮は一言も謝罪を要求していないのに、なぜか日本が勝手に謝罪をしているわけですね。
北朝鮮の立場
北朝鮮にとっての日朝首脳会談の意義はもちろん第一章に
1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。
と書かれています。日朝国交正常化ですね。
日朝間の問題を解決すると補足されていますが、「日朝間に存在する諸問題」の「諸」にご注目ください。これはもちろん拉致問題ではなく、国交正常化に至る手続き上のいろいろな問題という意味に解釈するのが妥当でしょう。
北朝鮮は、もともと大日本帝国陸軍が建国した国ですので、日本と国交正常化を果たすのは、まさに建国の悲願であるわけです。あともう一つは、第2章の後半、
双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
です。日本と国交正常化を果たしたうえに、補助金までもらえるのですから、北朝鮮にとってはまさに願ったり、叶ったりです。
拉致問題?そんなの知らないよ。だってそもそもそんな問題、存在してないじゃん、条文にも書いてないし、日本の国内のマスコミがでっち上げた問題だろ、そんなのそっちの国内で対処してよ、ということです。
実際にこの日朝首脳会談について、北朝鮮国内では、
「日本が我が国に、国交正常化を求めてきた。我が国は快くこれに応じた。」
と報道されており、拉致問題のらの字も報じられていません。
北朝鮮からの帰還者とは
では、この時北朝鮮から帰還した5人の人物は、いったい何だったのでしょうか?
当時の小泉首相と金正日委員長の会話を再現してみましょう。
金「日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交樹立を心から歓迎します」
小泉「どうもありがとう。ところで、日本から移住した人たちの件なんだけど、あの人たち、帰国させてくれないかな?日本国内のマスコミがうるさくてさ」
金「困りましたね。あの方たちは皆、わが国で高い地位を占め、必要不可欠な方々です。一人は私の妻になってますしね」
小泉「そこをなんとか。俺の顔を立ててよ。何人か一時的に帰してくれるだけでいいからさ」
金「では、比較的役割が少ない人物を5人ほど一時帰国させましょう。5年間たったら、わが国に、返してくださいね」
小泉「わかった、わかった。ありがとう。あとの人たちは死んだことにしとけば、あとは俺が何とかするよ」
なんてかたちで、金正日は、日本からの移住者を5人、5年間だけ一時帰国するという形で、提案を飲んだわけです。
しかし日本のマスコミは、「北朝鮮が拉致事件を認めた~。5人の拉致被害者を取り戻した~」と騒ぎ立てたわけですね。
もちろんこの5人は、日本に帰国したことになり、5年たっても北朝鮮には帰っていません。
小泉首相としては、拉致被害者帰国の業績をあげたことになり、金委員長としては、日本が、移住者の一時帰国の約束を破った、と主張することができるわけです。
いずれにしても、キツネとタヌキの化かしあいですね。