東京女子医大病院で医療従事者のボーナス全額カット
コロナ禍の最中で、東京女子医大病院に異変が起きているようです。
コロナ対応によって患者数が減少し、医師・看護師その他医療従事者の給料が減額され、ついには6月に支給されるはずだったボーナスが全額カットされてしまったようです。
このため、2000人いる看護師のうち400人が退職を希望する事態に陥っているということです。
命がけでコロナと戦っている医療従事者の皆さんには心から感謝をささげます。
しかし毎日休みなしに命の危険のもとで、コロナと戦ってきた医療従事者の方々への仕打ちとしてはあまりにもひどいですよね。
いったい東京女子医大病院では何が起こっているのでしょうか?
マスコミ各社は、例によって、「政府が悪い」ということで、この事件を安倍政権批判に結び付けているようですが、本当に政府が悪いのでしょうか?
コロナがなくても東京女子医大は経営危機だった
不思議に思って調べてみたのですが・・・。
結論から言うと、この事件は、東京女子医大病院の経営陣の判断ミスによって引き起こされた経営問題のようです。
東京女子医大病院は、コロナが発生する以前からすでに経営危機に陥っていました。
事の発端は、2014年2月に起きた医療ミス事件です。2歳の男児の頸部リンパ管種の摘出手術の際に、プロポフォールという麻酔薬を、誤って成人用量の2,7倍の量を投与してしまい、気づかずそのまま手術を続行して、男児が死亡するという事件でした。
この事件が明るみに出て、厚生労働省は、女子医大病院の「特定機能病院」の指定を取り消しました。これによって、診療報酬の優遇がなくなり、国からの補助金が大幅にカットされます。
また病院自体の評判も落ちて、患者数が激減し、病院の経営は慢性的な赤字に陥ってしまいました。
女子医大病院は2001年にも、心臓手術中に人工心肺装置の操作ミスで患者を死なせてしまう事件を起こしており、この時も5年間「特定機能病院」の指定をはく奪されていました。
この時は、再発防止策が施されたということで指定は元に戻っていたのですが、病院の体質は改善されていなかったようです。
これに追い打ちをかけたのは、2017年に起きた医療訴訟事件です。脳腫瘍で入院していた43歳の女性に対し、痙攣抑制剤の「ラミタール」を、規定量の16倍投与してしまい、女性は肺出血で死亡してしまったという事件です。
事件そのものは2014年に起きていたのですが、2016年にこれを毎日新聞が報道し、2017年に遺族が4300万円の損害賠償を求め提訴したというわけです。
東京女子医大経営陣の対応
これら一連の医療ミスによって、東京女子医大病院は信用を失い、患者数が激減、病院の財政は毎年赤字を続けることになります。
15年度は28億円、16年度は22億円の赤字となり、18年度についに過去最高の58億円の赤字を計上することになります。
ここで病院の経営陣がとった戦略は、徹底的なリストラでした。新宿区河田町にある女子医大病院本体を残し、都内各所にあった付属施設を次々閉鎖し、職員を解雇しました。残った職員のボーナスも次々にカットされていきました。
しかし女子医大病院本体は老朽化が進んでいたので、このタイミングにもかかわらず、各病棟の建て替えを次々に行っていったわけです。
リストラの効果もあって、19年度は一息ついたのもつかの間、新型コロナウィルスがやってきました。
女子医大病院は最初はコロナ患者を受け入れない予定だったのですが、途中で方針を変更し、コロナ病棟を確保、コロナ患者の受け入れに踏み切ります。
しかしコロナ患者の受け入れを聞いた一般病棟の患者数がさらに下がり、経営をさらに圧迫します。
そしてコロナ騒ぎの真っ最中の4月23日、東京女子医大病院経営陣は驚くべき決定を下します。このタイミングで、理事会において、理事室の移転・改装を決めたのです。
この改装には6億2000万円かかります。もしもこの改装を見送っていれば、それで職員のボーナスを払えたわけです。
というわけで、今回の東京女子医大病院の問題はコロナのせいで起きた問題というよりも、それ以前からあった医療体質・経営上の問題がコロナによって明るみに出たといったほうがいいと思います。
安倍政権は全く関係ありませんので、新聞・テレビによる誘導にはくれぐれもご注意願いたいと思います。
政府支援金20万円を着服か?
そういえば、日本政府は医療従事者に対して20万円のボーナスを支給しましたよね?
しかし東京女子医大に勤務している医療従事者の方々は、これをまだ受け取っていないようです。ほかの病院に勤務している方はとっくに受け取ったという話も聞きます。
これはいったいどういうことなのでしょうか?
日本の官僚組織は基本的に性善説で、面倒な作業を極力少なくする傾向にあります。
そこで今回の医療従事者に対してのボーナスは、病院単位で支給されるシステムになっているわけです。
つまり、厚生労働省が各病院の医療従事者に対してのボーナスの合計額を、病院に対して払い込み、各病院がこれを各従事者に分配するシステムですね。
これによって、厚生労働省の手間は大幅に省けるのですが、このシステムは一つ大きな問題があります。
そうです。厚生労働省から支給されたボーナスを病院側が着服してしまい、医療従事者に支給されない危険があるのです。
厚生労働省は基本的に性善説なので、そんなとんでもないことをする病院があるわけない、という考えのようですが・・・。
どうやら東京女子医大病院はこれをやっているようですね。
命を懸けてコロナと戦ってくれている医療従事者に支給するはずのボーナスを理事室の改装で使い込んでしまい、さらに赤字になった分を国からの支援金をネコババして穴埋めする、こんなことが許されていいのでしょうか?
それでも東京女子医大病院は救わなければならない
調べれば調べるほど東京女子医大病院のずさんな経営は明らかになっていきます。
一般の企業であれば、放っておいて、つぶれてしまったら、ほかの企業で代替すればいいだろ、と考えるところですが、この場合はそうはいきません。
東京女子医大病院は様々な問題を抱え、患者数が減ってはいますが、まだまだ大量の患者を抱えています。
さらにこの病院は、我が国におけるリウマチ・膠原病の権威なのです。
長年リウマチや膠原病に悩まされている患者さんは、各病院の紹介状を携え、最終的にこの病院を訪れ、治療を受けているのです。
さらにはコロナ患者も受け入れていますので、今後コロナの第二派、第三派が来た時に、大きな役割を果たすことが期待されます。
この病院がつぶれてしまうと、これらの患者さんが困ってしまうわけです。
またすでにコロナと戦ってくれている医療従事者の方々がたくさんいます。病院の経営に問題があったとしても、これらの医療従事者の方々は絶対に救済しなければなりません。
どんなに問題があったとしても、東京女子医大がつぶれることは避けなければなりません。またそこで働いている医療従事者の方々は、病院の財政が破たん状態にあったとしても、救済しなければならないのです。
しかし、ただ補助金を支給しただけでは、それは病院の経営陣の懐に収まってしまい、末端の医療従事者の方々に届かない可能性があります。
ではどのような形で、医療従事者の方々の救済を実現すればいいのでしょうか?
次回に続く→